超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「カイさん、こんにちは」

テラスは明るく挨拶をした。

「おお。さっきアンセムが来たぞ。とりあえず中に入れ」

「あれ?今日って棚の整理って言ってませんでしたっけ?」

「雑用ができたから、そっちから頼みたいんだが」

「いいですよ」

「奥でアンセムが取り掛かってるぞ。簡単な作業だから、わからなかったらアンセムに聞いてくれ」

「はい」

テラスは奥の部屋に入ろうとして、ふと視線を感じた。
そちらを見ると、ナミルがいた。
目が合うと、会釈をされてしまったので、テラスも慌てて会釈を返した。
そこへ、シンが現れる。
テラスには片手を上げて挨拶し、ナミルの隣の席に座った。

(あれ?あの2人って仲良かったっけ?)

そんな素朴な疑問を持ったが、とくに気にすることもなく、テラスは部屋へ入った。

(テラスが来てくれて助かったぜ)

なんとなくナミルの元へ戻り辛かったシンだが、テラスの登場で少し場の空気が変わった気がして、気持ちを落ち着けることができたのだ。

「もう5分経ったよな。始めるぜ」

「ええ…」

さっきよりも勢いのないナミル。
あの色男のせいだろう。
この場合、何か言葉をかけるべきなのだろうか。
柄にもなくシンは考えた。
しかし、それも一瞬だった。

(別にこいつを慰める理由なんてねーし!)

自分の今の役割は、勉強を教えることである。
シンは気を取り直し、ビシビシと厳しく講義をした。
しかし、ナミルの集中力は続かない。
すぐに上の空になり、先程までの捗りはどこへやら。