超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「アンセム、それは違うぞ…」

カイは首を横に振る。

「どうして言い切れるんですか」

「以前、テラスが無理して応じようとしていたからだ」

「応じるって…セックスのことですか?」

「そうだ」

「そんなの嘘ですよ」

カイの発言を信じられないアンセムである。
今までどれだけ逃げられ、何度拒否されたことか。

「僕が嘘をつくと思うか?」

思わずジト目を向けてしまうアンセム。
寮生をからかうのが趣味と公言しているのはカイ本人だ。

「僕は嘘はつかんぞ。真実を黙っていることは多いがな」

「じゃあ、どうしてテラスは今までオレの誘いを拒否してきたんですか?」

アンセムは納得できない。

「それはな、僕がテラスに言ったからだ。アンセムのことは待たせておけばいいと」

「はぁ!?」

アンセムは目を丸くした。

「恐らく、テラスは最初は無理をするつもりだったと思うぞ。テラスもセックスに応じることで愛情を伝えられると思っていたようだからな。
だから、言ってやったんだ。待たせてもいいから、自分が納得できるまで無理をするなと」

「カイさん、オレに何か恨みでもあるんですか?」

アンセムは酷く脱力した。
一体この人はテラスに何を吹き込んでくれたのか。

「いやいや、アンセムに恨みはないぞ。おまえのことは気に入ってるからな。
だが、あのテラスが男を好きになったんだから、その先もひとつひとつ納得して噛み締めながら進んでほしいと思った。
それに、アンセムならそんなテラスを受け止められると思っていたんだ。これは買いかぶりだったみたいだがな」

「オレはそんなに器が大きな男じゃないです」

テラスのペースに合わせようと決めたのに、全然うまくいかない。
アンセムは想いを押し付け暴走する自分に嫌気がさしていた。

「楽をしたければ、他の女の子を選べばいいじゃないか。アンセムなら、選びたい放題だろう」

それができないことをわかっていてカイは言うのだから、とことん意地悪である。