超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「おはようございます」

平静を装うアンセム。

「おはよう、早速中に入ってくれるか」

カイはいつも通りの様子で、アンセムをカウンターの中に招き入れた。

「はい」

「奥の部屋に行こう。もう準備はしてあるんだ」

部屋に入ると、山のように床に本が積まれていた。

「うっ…」

あまりの量に思わずうめき声が出るアンセム。

「これにカビ防止の薬を塗ってほしい」

カイは軽~くアンセムに依頼する。

「これが薬だ。粉状のものだ。難しいことは何一つない。表紙と背表紙に、この刷毛で…」

カイは一冊の本をとり、刷毛にうっすら粉薬をつけて、ブラシをするようにさっさと動かした。

「こうやって塗布してくれればいい。量は多いが、期限はないから気長にやってくれ。終わったものは、1日ここにおいて、それから本棚に戻すんだぞ」

「はい…」

確かに簡単な作業だが、この量では一体何日かかるのか。

「1人じゃ大変だから、テラスでも呼ぶか?」

「いえ」

アンセムは短く断った。

「なんだ、まだバタバタやってんのか?おまえらは」

その問にアンセムは無言で答えた。

「あれからどうなったんだ?」

「カイさんには関係ありません」

固い声が出てしまうアンセム。

「そうか、ならばテラスに聞こう」

「どうぞご自由に」

そう言ってアンセムは早速作業にとりかかる。