「そんなとき、テラスがアンセムに付きまとっているって噂を耳にしたのよ。
アンセムを見かけて、たまらず話しかけたわ。そして、彼と話しているうちに、確かめたくなったの」
「何をですか?」
「自分は本当にリーオンが好きなのか。アンセムの身代わりにしているだけじゃないのかってことを」
「そんな…」
「だから、ちょっとアンセムを利用させてもらおうと思ったの」
テラスはミユウの言葉の意味を図りかねた。
「テラスのためと言って、アンセムに自分と一緒に過ごすことを提案したわ。復縁の噂をたてれば、テラスの悪い噂がかき消されるかもしれないからって。
アンセムはテラスのことだけを考えていたから、気乗りしてなかったけど、無理矢理了承させたの。そんなことをすれば、テラスが良い気分になるはずがないってわかっていたのに。
アンセムと2人で過ごして、自分の気持ちがどうなるか試したかったの。
昔の気持ちを思い出すかもしれない。また、好きな気持ちが強まるかもしれない。リーオンへの恋心は誤魔化しだと気付くかもしれないって」
ミユウの思惑を聞いて、テラスはただただ驚いていた。
「それで、どうだったんですか?もし、ミユウさんがアンセムのことをまだ好きなら、私は身を引きます」
「どうして?」
今度はミユウが驚いた。
「だって、私とだとアンセムはなんだか苦しそうな顔ばかりしてる気がするんです。
それに、私よりミユウさんの方が理解できると、昨日言われてしまったし…。
ほら、私やっぱり恋愛音痴ですから、頑張っても頑張っても、アンセムの期待に応え切れないみたいなんですよね」
テラスは目を伏せた。
「期待ってなにかしら」
「なんだろう…。自分でも良くわかってないんですけど、私では満足できないんじゃないかなって思いがあります」
「それはアンセムがあなたを好きだからだわ」
「どうしてそうなるんですか。さっぱりわかりません」



