超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

アンセムの部屋の前まで来たテラスは緊張した。
嫌な顔をされてしまうかもしれない。だけど、逃げない。
腹をくくり、ノックをする。しかし反応はなかった。
拍子抜けするテラス。
もう一度、ノックしたが、やはり無反応。

「出かけてるのかな…」

テラスは諦めて部屋に帰ることにした。
そして今度は電話をかけてみるが、やっぱり繋がらない。
図書館かもしれないと足を運んだが、空振りだった。
再び部屋に戻り、30分おきに電話をかけてみたが、それでもつながらなかった。

結局アンセムと連絡がとれないいまま、テラスは沈んだ気持ちで1人夕食を食べていた。
夜ならいるだろうか。少し遅い時間訪ねてみようか。

「テラス」

そこへ声をかけられた。

「ミユウさん…」

「こんばんは。隣、いいかしら?」

「はい…」

本当は、今ミユウの顔を見るのは辛かった。嫌でも2人がキスしていた姿を思い出してしまう。食堂で見た周囲の注目を集める2人の綺麗な姿も。

「昨夜、なにかあった?」

「なんでですか?」

「立食会のとき、あなたが食堂を出てからすぐにアンセムが追いかけたのよ。会わなかった?」

「それ、話さないといけませんか?」

声を固くするテラスに、ミユウは何かうまくいかなかったことを察した。

「いいえ、無理には聞かないわ。
ただ、もしかしたら、私が余計なことをしたせいで、アンセムとテラスの仲違いの原因を作ってしまったかもしれないと思って」

「………」

「喧嘩でもした?」

「喧嘩なのかな…。一方的に愛想尽かされただけのような気もします」

あれだけ泣いたのに、また涙が出そうになるテラス。ぐっと堪えた。