超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

アンセムは部屋へ戻ると乱暴にドアを閉めて鍵をかけた。
そのままシャワー室へ直行した。服を脱ぎ捨て、蛇口を捻る。
とにかく混乱していた。
半日探し回ったテラスをやっと見つけたというのに、自分は何をやってるんだ。

テラスの腕を掴んで間近で顔を見た瞬間、押さえられない気持ちが溢れた。
その衝動のまま、抱き締めてキスをした。
そして、激しく抵抗された。

どうして?

疑問ばかりが頭に浮かぶ。
なぜ自分を拒否するのか。
テラスは自分と会えて嬉しくないのか。
キスもハグもどうして嫌がるのか。
それともミユウとのことを怒っているのか。
ならばどうすれば許してもらえるのか。
なぜ自分に言えないことがあるのか。

わからなくて逃げ出した。
泣いているテラスを1人残して。

テラスはどうしているだろうか。
まだ、あの場所で泣いているのだろうか。
自分はまた最低なことをした。
もしかしたら、自分とテラスは合わないのかもしれない。
テラスを追い詰めてばかり。自分の気持ちを押し付けて。
だけど、それでもテラスしか考えられない。他の人なんてありえない。
テラスの気持ちをつなぎとめるために、どうすればいいのかわからない。
シャワーにあたりながら、アンセムは苦悩するのだった。