「オレじゃ駄目ってことか?」

「違う、そうじゃないよ」

「会いたいと言っても、未だに部屋にも入れてくれない。テラスはオレのことをどう思っているんだ?」

ずっと抱えていた不安が、ついにアンセムの口から出た。

「そんなの、好きに決まってんじゃん!」

「わからない」

「どうしてそんなこと言うの?」

本当にどうしたことか。
アンセムは自分の口を止められなかった。
カイに言われたことも、アイリに言われたことも、そしてシンに言われたことも、全て詭弁に聞こえた。
なぜならば目の前のテラスは自分を拒否する。
指一本触れることも許されない。
どうやって信じればいいのか。

「オレにはテラスがわからないよ。ミュウの方が、ずっと理解できた」

アンセムの言葉に、テラスの中で何かが砕け散る。

「な、なにそれ…」

テラスはさっと血が下がるほどのショックを受けた。

「全然足りないかもしれないけど、私だって一生懸命考えてるんだよ。
どうしたらアンセムが喜んでくれるのか、どうしたら悲しませずに済むのか、これでも考えてるんだから」

じわりとテラスの瞳に涙が溢れた。
自分の気持ちがアンセムに伝わっていないことが悲しかった。

「でも、わからないこともあるから、アンセムの提案を受け入れたほうがいいのかなって思ったんだよ。
会えないのは寂しいけど我慢しようと思った。復縁の話も、私のことを思ってくれるならって受け入れたのに…」

ポロポロと涙がこぼれる。