超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「でも、それがテラスの性格なんだから仕方ねーだろ。
あの色男も、いい加減自分の恋人の性格くらい把握しろっつーんだよ」

「随分とテラスさんを語るじゃない。変人同士、気が合うのね」

「なんつーか、テラスの気持ちはわかるな。
俺も恋愛わかんねーし、そんな俺を理解してくれる稀な存在だからな」

ナミルは皮肉ったつもりだったが、シンは怒ることもなかった。

(この男の怒りの沸点がわからない…)

シンは無神経で自己中で、周囲の人間に興味ないと思っていたが、特定の人物には情の深い一面を見せるようだ。
ナミルにも、シンが友人としてテラスを心底心配していることがわかった。

「おめー、相変わらず生物学で苦労してんだろ?」

しばらく無言の後、シンがいきなり話題を変えた。

「べ、別に!」

「さっきおまえが持ってた本、一般終わってからじゃねーと意味不明なはずだぜ」

「ええ!?そうなの?」

「馬鹿は努力しても馬鹿のままだな」

やれやれと肩をすくめるシン。

「ムカツク!シンには関係ないでしょ!」

「だから、教えてやるっつーの」

「は?」

「暇つぶし。最近テラス図書館に来ねーし、暇なんだよ」

これはどう捉えれば良いのだろうか?
ナミルは困惑した。

「それって誘ってるつもり?」

「は?」

聞いてみたが、シンは本気で意味がわからないという表情だ。

(他意はないのね…)

アンセムのことは心配だったが、彼のために今自分ができることは何もない。
ならば、何か別のことに没頭したほうが気がまぎれる。

「じゃ、仕方ないから、暇つぶしに付き合ってあげるわ」

ナミルはシンの提案を受け入れることにした。

「それが師匠に向かって言う言葉かよ」

「いつ誰が師匠になったのよ」

「とりあえず、食堂行こうぜ。何から手をつければいいか考えてやるよ」

そう言うと、シンは1人でさっさと歩き出した。

「待ちなさいよ!女の子にペースを合わせるって発想はないの?」

「そんなもんねーよ!」

2人は毒つきながら食堂へ向かうのだった。