超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

アンセムは立ち尽くす。

(力不足?)

その通りかもしれない。
だからテラスは自分を頼ってくれないのだ。
では、覚悟が足りないとはなんだ?
自分はテラスのためなら何だってしてやりたいと思っている。
それだけでは足りないということだろうか?
方向性とは?
差し伸べようとした手を振り払われて、どうやってテラスを守れば良いというのだ。
わからないことだらけだ。
こんな自分だから、テラスは自分に委ねてくれないのかもしれない。

そんなことよりも、テラスに何か起こったのではないかと気になった。
昨日も今日も、声すら聞いていない。

一昨日の夜、電話から聞こえてきたテラスの声には違和感があった。
その日、何かあったのだろうか。
酷い嫌がらせを受けたのだろうか。
断られてでも、部屋に行くべきだったんだろうか。

(今、テラスはどうしているのだろう…)

急に不安になった。
いてもたってもいられない気持ちになり、アンセムはカイのいる部屋のドアをノックして開けた。

「どうした?」

目線は書類から外さずカイが聞く。

「今からテラスに会いに行きたいんですが」

「それは困るなぁ」

「カイさんが吹っかけたんじゃないですか」

「言いがかりはよしてくれ」

と言いつつ、カイの目は笑っていた。

「すいません。オレ、行きます」

そしてアンセムは図書館を飛び出した。
そんな彼の行動に、カイは満足するのだった。