超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「はい」

『ああ、やっと繋がった』

「アンセム…」

『こんな時間までどこにいたんだ?珍しいな』

「えっと、アイリの部屋」

とっさに嘘をつくテラス。

『えっ?』

アンセムは思わず声を出す。

「なあに?」

『テラスがいないから、アイリのところだと思って電話をしたんだけど、繋がらなかったんだ。本当にアイリの部屋にいたのか?』

「う、うん」

テラスの下手な嘘は、すぐにアンセムにバレる。
しかし、あえてそれ以上アンセムは突っ込まなかった。

『まあ、それはいい。テラスに話さなければいけないことがあるんだ』

「私も、アンセムに聞きたいことあるよ」

『同じことかもしれないな』

「うん。ミユウさんと復縁したって噂のことかな?」

普通に聞けただろうか。
自分の声がいつもより小さい気がするテラスだった。

『ああ。そうなんだ。
テラスが嫌がらせされていることを知って、ミュウが協力を申し出てくれたんだ。噂をオレとミュウの復縁話にすり替えたら、テラスへの注目もなくなるんじゃないかって』

「そうなんだ…」

『それで、今日はあえて3食ミュウと2人で食事をとった。それだけなのに、凄い勢いで復縁の噂が広まってしまったみたいだな』

「それだけで…」

キスした話は本当なのだろうか。
聞くつもりだったのに、テラスは次の言葉が出ない。

『しばらくミュウと復縁したフリを続けて、テラスの噂が風化してくれればいいと考えてるよ』

「そっか、そうだね」

『テラス?』

「なに?」

『何かあったのか?』

そう聞かれて、テラスの胸はズキンと痛んだ。

「どうして?」

動揺を隠そうとするテラス。

『いつもの元気が感じられない気がする』

「そんなことないよ!」

テラスは声を大きくして、明るい話し方を意識した。