「はぁ･･･」

ナミルは生物学の棚まで来ると、大きなため息をついてしゃがみ込んだ。
色々なことがあったが、アンセムがテラスを想う気持ちの強さは、アンセムを知れば知るほど思い知る。
だから、アンセムを諦めるしかない。
頭で理解はできても、気持ちがついていかないのが現実だった。
本当は会わないようにしたいのだが、生物学の授業に追いつくために、仕方なく図書館を利用するナミル。
落ち込むのは、アンセムを見るものも辛いはずなのに、それでも会えると嬉しい気持ちになってしまうことだ。
まだ全然気持ちを切り替えられない自分にうんざりする。

（２人が付き合い始めてもう２週間か…）

どこまで進んだのだろう。
あの偏屈な女が、アンセムを振ることはあるだろうか。
いやいや、アンセムが愛想を尽かせることがあるのではないか。
この期に及んで期待をしている自分に気づいてみじめになった。

「もう･･･イヤ･･･」

ナミルは溢れそうになる涙を堪えた。