超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「直接話したことはなかったけど、テラスのことはたまに見かけていたわ。色々な話も聞こえてきたわ。ちょっと前まで、本気で恋愛に興味がなかったでしょう?
だけど、アンセムと出会って新しい気持ちを知っていったのよね。
今日みたいに物凄く苦しい気持ちもあるかもしれないけど…。特にアンセムはちょっと特殊な男の子だからね」

ルイザは見守るような優しい眼差しをテラスに向ける。

「でも、初めて好きになった相手が自分を好きでいてくれて、その人からたくさんの感情をプレゼントされているって思ったらどうかしら?
これはアンセムにも言えることだけど。
楽しいことも、嬉しいことも、悲しいことも、辛いことも、綺麗な気持ちも、汚い気持ちも。
本当に好きな人じゃないと、感じることのできない感情よ。
あまりに一気に来すぎて、ついていけないときがあるかもしれないけど、イヤだって逃げないでほしいな」

テラスの心にルイザの言葉が染みるように響いた。
感情のプレゼント。
そういえば、アンセムは好きな相手だから感情が乱されると言っていたっけ。

「それに、随分とテラスは自己評価が低いみたいだけど、あなたくらい職員の注目を集めた寮生は実に久しぶりよ。
私たちの間では、そう来たか!って、みんな妙に納得の組み合わせなんだから」

「は、はぁ…」

なんと答えれば良いのか困惑してしまうテラス。
アンセムはともかく、自分が職員たちから注目されていたと言われても信じられない。
自分の突飛な行動に自覚がないテラスである。

「だから、もっと自信を持ってね」

「…はい」

それでも、ルイザがテラスを一生懸命励ましてくれていることは伝わってきた。
テラスは、少しだけ元気が戻ったような気がした。