超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「はい。ココアで良かったかしら」

「ありがとうございます…」

受け取るテラス。

「あなた、テラスよね?」

「はい。そうですけど、なんでご存知なんですか?」

「とっても有名人だから」

「はぁ…」

なんと返答してよいのかわからず、間の抜けた返事をするテラス。

「寮内一の問題児、そして寮内ナンバーワンの男子寮生を射止めた女子寮生ってね」

自分とアンセムの交際が職員に周知されていることにテラスは驚いた。

「あの、私とアンセムが付き合ってるってこと知ってるんですか?」

「当然よ。だってカップリングは職員の一番大事な仕事だもの。こういう重要な情報は、共有してるのよ。
…と、私の名前をまだ言ってなかったわね。ルイザよ」

「ルイザさん、あの、情報の共有って、司書のカイさんもですか?」

「ええ。カイは概ね提供する方だけど」

「はぁ~、なるほど」

テラスは納得してしまった。
カイが妙に人間関係に詳しかったり、色々と聞いてきたりするのは、そういう理由もあるのかもしれない。

「さて、今日はどうする?私で良ければ話を聞くけど、寮長の方が良ければ明日朝イチで面会の予約を入れておくわ」

「そうですか…」

テラスは少し考えた。
誰かに今の気持ちや出来事を聞いてほしかったが、ルイザに話すと彼女に二度手間をさせてしまうのではないかと気が引ける。

「何か遠慮してるわね?」

「えっ?」

「大丈夫よ。寮生の話を聞くのは宿直の重要な役目なの。こうやって、夜に飛び込んでくる子、結構いるのよ。
私は聞かせてほしいな。あなたが泣きながら来るなんて、しかもそんなに頬を腫らして。気になって仕方がないわ」

「あ、あの…」

何から話せばいいのか。テラスは混乱してうまく話せない。
ルイザの優しい言葉がけのせいだろうか。また涙が溢れそうになる。
ルイザはしばらく待ったが、テラスのために少し誘導する事にした。