超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「あーもうヤダ!」

さすがのテラスも切れた。

「名前も知りませんけど、あなたこれからどうするつもりですか?ず~っと私をここに閉じ込めておくつもり?そんな事不可能ですよ。
私はここから出たら、そのまま寮長室に行きます。全部話します。わかったか!」

テラスはそう叫ぶと、もう言うことはないと口をつぐんだ。
顔を真っ赤にする女。

「ま、まずいんじゃないの…?」

テラスの右腕を掴んでいる女が、気弱にリーダー女に声をかける。

「私も、やりすぎだと思う…」

反対の腕を掴んでいる女も同調した。

「もうこれくらいでいいんじゃない?
実際アンセムはミユウとヨリ戻したんだし、この子が頑張ってもどうしようもないんだから」

ドアの前に立っていた女も、リーダー女の説得に入る。

「これで解放してあげるから、今日の事は寮長に言わないで」

そしてテラスに懇願した。
ここにいる誰もが、まさかテラスが反撃してくるとは思っていなかったのだ。
複数人で攻め立てれば、怯えて泣いて従うと考えていた。
想定外の展開に、女たちは焦っていた。
テラスはその声かけには無言である。

(絶対に言ってやる)

無言のまま決意を固めた。

「そうね…。もともと、アンセムがこんな子相手にするはずなかったんだわ」

リーダー女も、告げ口を恐れて折れることにしたようだ。

「今回はこれで許して上げる。だからあなたも、口外無用よ」

(誰が!)

テラスは心底怒っていた。
彼女にしては珍しいことだった。

「離してください」

テラスがそう言うと、左右の女たちは手を離した。
無言でドアへ向かうテラス。
頬がヒリヒリした。

「ちょっと待って」

ドア番の女が戸を少し開けて外の様子を伺った。
誰もいない。

「通っていいわよ」

無言で通り過ぎるテラス。

「お願いだから、寮長には言わないで」

小さく囁かれたが、無視した。
そのままテラスは寮長室へ直行するのだった。