「おまえ、あの色男が好きなんだろ」
そして、またわけのわからないことを言ってくる。
ナミルは頭に血が上った。
「だからなんなのよ!あんたのそういう発言が、傷をえぐるの!」
「そっか。わかった」
「なにがわかったのよ」
「あの色男のことを俺が言うのが気に食わないんだな。それについて、何も言わなければいいんだろ」
「………」
ちょっと焦点がズレている。
しかし、どうやらシンは本気で申し訳ないと思っているようだ。
「もう二度と言わねーから、おまえもいきなり怒ってどっか行くの止めろよな。理解不能だぜ」
「あ、あのねぇ…」
脱力するナミル。
涙もいつの間にか引っ込んでしまった。
理解不能はこっちの台詞だ。
「文句あんのかよ」
「どこまでも偉そうね、シンは」
「ちゃんと謝ってんじゃねーか」
「どこが」
「なんだよ、可愛くねー女!」
「シンに可愛いって思われても何の足しにもならないわよ」
「けっ!追いかけて損したぜ」
シンはくるりと背を向け、ドスドスと歩いて行ってしまった。
その背中を何となく見送るナミル。
「ホント、良くわからないヤツ」
ポツリと呟いた。
だけど、先ほどまでのどん底最悪の気分から、少しだけ抜け出している自分に気付く。
謝ってきたことは認めてあげようかなと思うナミルだった。



