超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「そうじゃないわよ。アンセム」

「え?」

「きっと、アンセムが他の誰かを選んだら、その方があなたのためだと思って身を引くって意味よ」

「よくわからないな…」

「アンセムって、相変わらず女心がわからないのね」

軽く言われて、アンセムは言葉に詰まった。

「テラスって、大切な人のためなら自分を抑えちゃうような気の使い方する子だと思うんだけど、違う?」

「どうかな…」

だったら、もっと無理をして体の関係にも応じてくれるんじゃないか。
そんなことを思ってしまうアンセムである。

「私との約束を、律儀に守り続けちゃったような子よ。そのときのテラスの心情は聞いてみないとわからないけど。少なくとも、自分のことだけ考えるような子だったら、別れたと同時に約束は反故してたと思うわ。
それに、今だってアンセムを頼らないんじゃなくって、迷惑かけたくないだけじゃないのかしら」

そういうことも、あるのだろうか。
カイから言われたことを思い出す。
自分はテラスの気持ちをいくつか見落としているのだろうか。

「この後、電話してみるよ」

「ええ、それがいいと思うわ」

ミユウはにっこりと笑った。
2人は食事を終え、食堂を出た。
近づいて喋りかけるような勇気のある者はいないようだ。
皆遠巻きにアンセムとミユウの様子を伺っていた。