超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「どうしてすぐに話してくれなかったんだ?」

「ごめん…」

明らかに怒っているアンセム。
シンの言った通りになってしまった。

「誰に何をされた?オレが余計なことをするなと言うから、教えてくれないか」

「え!?誰にって言われても、名前も知らない人のことあるし、そんな酷いことされてないから、大丈夫だよ」

テラスは慌てた。

「オレが耐えられないんだ」

「なんでアンセムが?」

「なんでって…。オレのせいみたいなものだろう?それに、テラスに嫌がらせするようなヤツも許せない」

「嫌がらせって程でもないよ。きっと前みたいに噂も自然に落ち着くよ」

本当は今目の前にいるアンセムに一番落ち着いてほしいテラスである。

「そんな悠長なこと言ってる場合か」

「アンセムが動いた方が大騒ぎになっちゃうよ。それに、私なら本当に大丈夫だから」

テラスは自分のせいで、アンセムが傷つくのはイヤだった。

「…ごめん。頼りにならなくて」

しかし、アンセムはそれを卑屈に受け取ってしまった。

「そんなことない」

テラスは慌てて首を振った。
それでも、アンセムの気持ちは沈んだままだ。テラスから必要ないと言われた気がした。

「少し、会わない方がいいのかな…。その方が、テラスにはいいのかもしれない」

そう言ってアンセムは立ち上がった。

「アンセム?」

「帰るよ」

「う、うん…」

「遅くにごめん」

「ううん、アンセムだから、いいよ」

テラスは精一杯気持ちを伝えたが、今のアンセムにそれを読み取る余裕はなかった。

「おやすみ」

そう短く言って、アンセムはテラスの顔を見ずに部屋から出て行った。