更紗は目の前に立てたその人差し指を折る。
「きゃーきゃー騒ぐけど、望月が知らない場所で騒ぐだけ」
「綺惺くんの迷惑になりたくないもんね」
「褒め言葉もさあ、かっこいいなら分かるけど、かわいいだし。あの無愛想なデカい男のどこが可愛いのよ」
「うーん……かっこいいも分かるけど、綺惺くんはかわいいよ」
「なにより、望月と付き合いたいと思わんの?」
「思わんねえ」
だって、綺惺くんはわたしのいのちの恩人なのだ。死んだのも綺惺くんのせいなのだけど、綺惺くんのおかげでわたしは生き返ったから、いのちの恩人に間違いはない。
「変人」
「ありがと〜」
「こころ、やっぱ頭打っておかしくなったよ」
「そのいじり、切れ味抜群だよ」
けらけらと笑い合ってポッキーを鳴らす。
「あ」
ふと、更紗の声と共にわたしの視界に影が落ちた。見上げる。わたしを見下ろす、色気をまとった桃花眼がゆらり、ゆれる。
「日凪かくまって」
わたしの推しである望月綺惺が、耳障りのよい、フラットな声をうえから落っことす。
「どうぞ。そのかわり小さくなってね」
「わかった」
望月綺惺全肯定人間のわたしは、もちろんその提案をうけいれる。
「きゃーきゃー騒ぐけど、望月が知らない場所で騒ぐだけ」
「綺惺くんの迷惑になりたくないもんね」
「褒め言葉もさあ、かっこいいなら分かるけど、かわいいだし。あの無愛想なデカい男のどこが可愛いのよ」
「うーん……かっこいいも分かるけど、綺惺くんはかわいいよ」
「なにより、望月と付き合いたいと思わんの?」
「思わんねえ」
だって、綺惺くんはわたしのいのちの恩人なのだ。死んだのも綺惺くんのせいなのだけど、綺惺くんのおかげでわたしは生き返ったから、いのちの恩人に間違いはない。
「変人」
「ありがと〜」
「こころ、やっぱ頭打っておかしくなったよ」
「そのいじり、切れ味抜群だよ」
けらけらと笑い合ってポッキーを鳴らす。
「あ」
ふと、更紗の声と共にわたしの視界に影が落ちた。見上げる。わたしを見下ろす、色気をまとった桃花眼がゆらり、ゆれる。
「日凪かくまって」
わたしの推しである望月綺惺が、耳障りのよい、フラットな声をうえから落っことす。
「どうぞ。そのかわり小さくなってね」
「わかった」
望月綺惺全肯定人間のわたしは、もちろんその提案をうけいれる。



