そして僕らは愛を手に入れた

「コーチがインフルで自主練に変更。俺も頭痛いから帰る」

綺惺くんはそう説明すると「って、今トラジに送ったからOK」と言ってスマホを見せた。ちなみにトラジと言うのは三年生で、バスケ部のキャプテンのひとだ。声も身体も大きくて、頼りになると言うよりも話しやすいひとだと説明を受けた。

「欠席の連絡ってマネージャーじゃなくて、キャプテンなんだね」

「ひとってめんどくない方をえらぶよね」

「……?そうだね」

「そういうこと」

どういうことだ。頭痛いから説明も簡略しがちなのか。
というよりも頭痛いってサラッと言ったけど、大丈夫なのかな。

「綺惺くん、わたし、カロナールであれば持ってるけど飲む?」

「カロナール?」

「解熱鎮痛剤。でも、綺惺くんの常備薬飲んだほうがいいかな……綺惺くん、お薬持ってる?」

心配して訊ねれば、綺惺くんは「持ってない。病院きらいだし」と、高校生らしからぬことを聞かせた。

「えー!つら!病院いこう!?」

「やだ」

病院がきらいな綺惺くんはとても可愛いけれど、それよりも、健康の方が大事だ。