そして僕らは愛を手に入れた


「日凪、俺ん家に賞味期限が今日までのいちごタルトあるんだけど、食う?」

昼休み、教室の一角で更紗とオーディション番組をスマホで見ていた。今ハマっているガールズグループのオーディション番組だ。その行方を見守っていると、綺惺くんはいつのまに私たちの机に顔を乗せていたし、更紗は「うちもいいの?」と言うけれど、綺惺くんは「無い」と即答した。

「いいの?たべたい!」

「じゃあ帰り、俺ん家ね」

「でもでも、そのいちごタルトって綺惺くんが食べる分じゃないの?」

「俺は食べない」

「いちごタルトを廃棄するのは罪だと思うな」

「日凪が食べてくれるならいいじゃん」

そっか、それもそうかもしれない。

気になることはもうすこしある。綺惺くんはいつも以上にぼうっとしているし、それに。

「綺惺くん、部活は?」

忘れがちだけど、綺惺くんはバスケ部に所属している。たまに「練習見に来て」と言われるので行くけれど、綺惺くん目当ての女子たちも多いし、わたしが行くと綺惺くんの集中が途切れるとか、色んな理由で締め切られちゃって、結局見れないのだ。