そして僕らは愛を手に入れた

優等生よろしく体育の授業を覚えていたわたしだけど、ついうっかり、とあることを忘れていた。

「うわ、そうだった!体操服、新しく買ったんだ!」

弟の不注意で体操服が駄目になったので、体操服を買い換えていたことを忘れていた。それから我が校は、直接記名するタイプの体操服を使用しており、無記名及び体操服忘れは運動場10周という鬼のような罰を敷いている。

さらに運悪く、わたしは油性マジックを常備していない。

詰んだ…………

「俺、書こうか」

窮地に立たされたわたしに声をかけたのは、綺惺くんで、救世主の登場に思わず「え!!!いいの!?」と、目を輝かせた。ペンケースからマジックを取り出した綺惺くんは、なんの躊躇いもなくわたしの体操服に記入する。

ああ、これで安心だ。グッバイ10周。

綺惺くんは愛想がないけれど準備がいいし気が利く人だ。そんな人を彼氏に持つわたしは…………

「あ、間違えた」

彼氏のことを絶賛していたわたしは、その一言で我に返らざるを得なかった。