ということで、綺惺くんがわたしのお家にやってきた。
「おじゃまします。はじめまして、望月綺惺です」
綺惺くんは、あなたほんとうに、望月綺惺くんですか??と言いたくなるくらい、手本のような挨拶をわたしの家族にしていた。常にやる気もなく、無気力で愛想のない綺惺くんが品行方正にみえて、おもわず「綺惺くんが、優等生だ…!」と後退しながらその様子を見ていれば「失礼な」と、叱られてしまった。
「あら、あらあらあらあらあらあら、もしかしてここちゃんの彼氏?」
今日はあいにく早番の日か、お母さんが待ち構えていたし、綺惺くんを見て「かっこいいわねえ」なんて目をハートにさせている。恥ずかしいので、やめてほしい。
「はい。お付き合いさせていただいています」
優等生モードの綺惺くんは、いつ身につけたのか敬語もばっちりだ。
「こころに彼氏がいるのまじだったのか。しかもイケメン……残された運を使い果たしたな」
「は?」
「おにいさん、去年一生の運を使ったここちゃんに今後いい事ないよ!?いいの!?」
「ちょっと!」
運悪く、今日は弟二人も在宅なので最悪である。



