そして僕らは愛を手に入れた

「ごめん、嘘。わたしが綺惺くんの親だったら綺惺くんのことめちゃくちゃ可愛がるけど、綺惺くんが本当に可愛がられて育ったかは知らない。そうであって欲しいなとは思う。これは絶対。だからいまのは、願望に近いかも」

 素直にごめんね、を言えば、綺惺くんはしばらく黙り込んで、それからわたしの隣に腰を落とした。

「なんで隣?」

「向かい合うと文字が読みにくいじゃん、逆さで」

「ああ、そっか」

 簡単に納得してしまった。

「綺惺くん、夜ご飯食べて帰らない?」

 やがて18時を回ると、お母さんが伺うようにノックをした。しかも夜ご飯なんて、潔癖症な綺惺くんに対してとてもハードルが高いお誘いだ。

「お母さん、そういうのやめよう」

「良いじゃない。パパにはさっき今夜は外で食べてきてって言ったから一人分余るのよ」

 お父さんの扱いが大変雑だ。

「ねえ、余らせ方がえぐいよ」

「突然だし、おうちの人が困るかしら。どうかな、綺惺くん」

 わたしの意見は全て無視したお母さんは、綺惺くんに詰め寄る。無視していいよ!と目で念を送る。まあ、心配しなくても綺惺くんのことだから断るだろう。

「ありがとうございます。いただきます」

 乗っちゃったよこの人。