「おはようは?」
痺れを切らしたらしい綺惺くんが、必要と、不必要の境界線を探る。
「おはようは、セーフ」
挨拶は、人間関係に必要な、コミュニケーションの入口だ。
「こんにちは、は?」
「こんにちはも、セーフ」
「日凪、今日の髪型可愛い」
「え?そう?……じゃなくて、それは良くない、すごくよくない!」
うっかり会話がはじまろうとして、あわててNOを告げると、綺惺くんは整ったその顔をくしゃりと崩して「なんでだよ」と、笑った。
「シャーペン貸して」
「シャーペンは、仕方ないかなあ……」
「教科書みせて」
「教科書は隣の人にみせてもらお!」
頭が良い綺惺くんはそのあとも、絶妙なラインを追求する。というか、綺惺くんって彼女は作ってもそれほど噂にならなかったし……綺惺くんの付き合い方を真似したらいいんじゃないの?
「逆に綺惺くんはいままでの歴代彼女と、どんな付き合い方してたの?」
閃いたわたしは、舵を切る。



