そして僕らは愛を手に入れた

何度生まれ変わっても、わたしはあなたに恋をする


 𓂋⟢

 望月綺惺は優しいのにひどい人だ。誰とでも簡単に付き合うけれど、誰のことも好きにはならない。誰にも執着もしない。誰のものにもならない。
 わたしこそは、彼を夢中にさせてみせる、そんな女子たちが綺惺くんへ告白し、了承をもらい、玉砕する。中学の時誰もが憧れた女子も、実家がめちゃくちゃ太いと噂の女子も、フォロワーが5000人もいる女子も、みな同士。

 綺惺くんの彼女は思春期女子のアイコン並に変わるのに、綺惺くんが本気になるのは一体どんな美少女なのか、女子の噂は専ら変わらない。



 
 
「え……?付き合った?」
「うん。付き合った。……多分」

 たぶん、をもう一度付け足して、机に突っ伏した。綺惺くんと付き合った次の日の朝、更紗にだけは報告することにした。
 けれども、偽装カップルとはさすがに言えず、最後の方はもにょもにょと弱々しい語尾でも口にした。

 付き合った、という事実が現実味を帯びる。だって綺惺くんと付き合った実感が全くないのだから、本当に付き合ったのか未だに疑問もある。

 何言ってんの?とか、嘘なんじゃないの?って、馬鹿にするかなあ。

 ゆるゆると視線をあげた。私の「ハテナ」に対して、更紗はその目を大きく見開いた。
 
「まーーじで!?おめでとう!!」
「(おめでとう??)」

 しかもそれは私の予想を反する言葉だった。