そして僕らは愛を手に入れた

ということは、これはまさか巷で聞く女避け、という存在になれということか。え……わたしが!?

「(転生系漫画のあとは正統派ヒロインのポジションを用意されてたってこと!?)」

 衝撃の事実だ。これは現実か。生きていればこんなオプションまで付随されていたなんて、天使さんは大盤振る舞いだ。もしやわたしの寿命が半分に削られた、なんてことないよね?

 生き返って、健康で、親孝行もできて、綺惺くんと仲良くなれたのだから寿命が半分になっても問題はないんだけどさ。

「もどってこい」

 そんな妄想を繰り広げていると、突然、視界が綺惺くんの手で遮られた。

 まるで王様の命令に「はい、戻りました」と、下僕であるわたしはすぐにうなずく。不意に王様の目元が細くなり、好戦的な形へと変化した。

「日凪こころは今日から俺の彼女になんの。“はい“は?」

 なんて贅沢な選択肢。もし、次に死ぬことがあればわたしは女子たちの恋愛を阻んだ罪で、地獄行きが決定されているだろう。
 
「はい。綺惺くんが言うなら地獄にだってお供します!」

 けれども、わたしは迷わず地獄行きを選ぶだろう。

 何も知らない、わたしの返事を聞いた綺惺くんは「なにそれ」と言って目に涙袋を浮かべて微笑んだ。

 その笑顔も、やっぱり、かわいくて癒されるから、この選択肢が最適解だと思うしかない。