綺惺くんの笑顔はわたしが絶対に守るもんね……!
「ちょうどいいんだよな、日凪は」
謎の使命感に駆られていると、綺惺くんは、わたしを見てよく分からない感想を伝えてきた。
「なにが?」
「ちょうどいい」
だからなにが?
生ける美術品がわたしを褒め……ているのか分からないけれど、褒められていることにする。
見上げる。綺惺くんが視線だけわたしに寄越す。
「日凪、お前俺のこと、なんとも思ってないだろ」
「それはそう。あ、かわいいとは思ってるよ。顔も国家遺産として任命されるべき。総理大臣に掛け合おう」
「しなくていい」
「あ、ごめん。でもそうだね、綺惺くんは顔を拝めたらいいや」
「だから」
「(だから?)」
わたしの感性も人に褒められたものでは無いけれど、綺惺くんの感性もわからない。わからないまま視線を前に移す。
「日凪。どうせなら俺と付き合ってよ」
つきあってよ、おれと?
無気力な要望が鼓膜に落っこちた。けれどもわたしは、彼の要望に、はいそうですねと答えられない、理由があった。
「綺惺くん、こないだ彼女いらないって言ってたじゃん」
「彼女がいないといないで告白される」
「それは告白されたことがないわたしに対する嫌味かな?」
「いちいち断るのもだるい。昼休みが中断されるの勘弁して欲しい。俺、困ってる」
「ごめん全然理解できない」
人助けをモットーに掲げているわたしは悩んだ。



