そして僕らは愛を手に入れた

「……え、」

 ふと、そのときひとりが綺惺くんへとスマホをかざすと、カシャッとシャッターが切られた音が聞こえた。

「顔隠してない綺惺くん珍しいよね」
「もう一枚いいかな」

 女子たちはなおもやめようとしない。顔、と言われて自分の袖口を見た。

 そうだ。綺惺くんはいつもパーカーを被って顔を隠している。こうやって、いつ身に降りかかるやもしれない事態に、彼はいつも神経を尖らせて、自身を守っているのだ。なのに自分を守るそれを今日はわたしが借りてしまっているから、それができない。わたしが彼を弱くさせてしまっている。
 指先で裾をつかんで、顔をあげる。

「あ……あの」

 緊張して、よわよわしい声は通らなかった。けれど、女子ふたりはわたしに気づく。

「え?」
「さっき、望月綺惺のこと撮りましたよね。消してください」
「……は?なにあんた」
「勝手に写真を撮って、いい気分になる一般人、いませんよ!」
「はあ?みんなやってるじゃない」
「やってるかもしれないけれど、みんながしているから自分もしていいって理由はちがうよね?」

 持論を述べると、ふたりは気まずそうに顔を見合わせた。