そして僕らは愛を手に入れた

どうせ、あなただって

𓂋⟢

 わたしが絢惺くんを推すきっかけは明白だ。

 入学式、その当日に全女子生徒にみつかった我が校の宝。おかげで高校生活スタート直後の女子の話題はほとんどそれで、俄に色めきだつその様子をみて、当時のわたしはどこか、ちがう星の出来事だと俯瞰して見ていた。

 だって、どうせ、彼らはわたしとはちがうステージで生活していて、わたしと彼らが交差する世界線はどこにも無いはずで、あってもほんの少しの関わりで終わるはずで。

「(ていうか、私たちのこと、同じ人間だと思ってなさそうだし)」

 偏見的な目を向けていたのも確かだ。

 同じクラスではなかったけれど、クラス内、いや、学年と言わず学校単位で見てもカーストの最高位に君臨する綺惺くんのうわさは毎日のように小耳に挟んだ。

 住んでいる場所とか、過去のプリとか、彼女が何人いるとか、喧嘩が強いとか、バイト先とか、じつはむけてないとか。多彩に聞かされた。
 
 けれどわたしは、たまに彼と同じ時間の電車をつかうこともあって。彼が年配の女性に席を譲るのをみたことがあるし、なんなら荷物を持っているのも見た。しかも、確実に遅刻するであろう時間であっても、彼は他人を優先させていたし、遅刻しても彼は、それを理由に挙げなかった。