そして僕らは愛を手に入れた

「これ、洗って返す」

 綺惺くんはわたしのタオルの格式を上げようとする。

「え!?別いいのに。というかわたし、そろそろ試合で」

 試合の懸念をしていれば「こころ、次うちらの番だよ」と、更紗がわたしのTシャツを掴んで連行しようとする。言わんこっちゃない。
 
「え!?わたしタオルないよ!?汗だくになるよ!?」

 ふと見遣れば、タオル強奪犯の綺惺くんは、確信犯な笑みを浮かべていた。

「どうせ出ても意味ないだろうし、サボれば?」

……言ったな??
 
「華麗なレイアップシュートを決めてみせるよ」

 ちょろいわたしは簡単に煽られたけれど、簡単にパスカットされるし、シュートはリングに届かないし、あげくボールを蹴り飛ばしてしまう。天使はわたしから運動神経まで奪ったのか華麗なレイアップシュートは無謀な挑戦らしい。

 綺惺くんを見ると、近くの男子……藍良くんたちと一緒に笑いあっていた。どうやらわたしの醜態は見られていないらしい。しかし談笑する綺惺くんもまたかわいい。けれども、かわいい、が結びつく枝は好意ではない。ただ、望月綺惺という人間に対するポジティブな感情が存在するだけだ。
 

 どう足掻いても。