私の世界を終わらせた恋

「ずっといたじゃない。目立つタイプじゃなかったけどさー」
「『ずっと』って?」
「『ずっと』はずっとだよ」

 マイカが『何言ってんだか』という表情をしている。

 ライムくんは、3時限目の終了とともに消えていたが、4時限目の開始とともに戻ってきていた。
 そうしてこの昼休みの開始とともに、また消えていた。
 物音どころか動く気配すら感じなかった。

 なんか幽霊みたい……

 自分の想像に、背筋がぞくぞくした。

「ねえ、ライムくんってどんな人?」
「基本ひとりじゃない? 教室移動とかも」

 それを聞いた途端、教科書やノートを脇に抱えて、ひとり廊下を歩くライムくんの映像が、頭の中に映し出された。

「あと、体育祭では意外と足が速かった」

 クラス対抗リレーで、クラスカラーである緑のはちまきをつけたライムくんが、トラックを走り抜ける……

 まただ。
 マイカが話すと同時に、そんな断片的な映像が流れる。