私の世界を終わらせた恋

 その奇妙な出来事は、3時限目の英語コミュⅠで起こった。

「プリントを配ります」

 先頭の席から順々に後ろへ送られて、私の席に届くときには最後の1枚に……
 なっていなかった。

「ねえ、1枚多いから、前に戻して」
「ええっ?」
「ほら、2枚あるでしょ」

 私の前に座る岡田くんは、不思議そうにしていた顔を、ますます不思議そうにした。

「ふたり分だから2枚でちょうどじゃん?」

 ふたり分……?

「訳わかんないこと言ってないで、早くライムに回してやれよ」

 私の向こう側を見て、そう言った。

 ライムって?

 訳わかんないのは、こっちのほうだ。
 何言ってるんだ、と思いながら振り返って、岡田くんが見ているものを確認した。