あれって、誰だったっけ?
ノートをすぐに見分けられるように、背表紙に色違いのシールを貼っていたの……
あのとき、すごくいいアイデアだなって感心して、私も真似させてもらおうと思ったはず。
ずいぶん前のことだ。
にも拘らず、一向に自分ではやっていなくて、今もノートは見分けがつかないでいる。
なんだか、私同じところで停滞してない?
同じ毎日を繰り返してるだけで。
これって絶対マズいよね?
そう自覚したとき、偶然にも風が吹いた。
心地よく私の前髪を揺らした。
幸先よく感じられ、気分が揚がる。
と、そこで担任の先生が教室に入ってきた。
なーんだ。
たまたま先生がドアを開けたから、風が入ってきただけか。
「はーい、朝のホームルーム始めまーす」
マイカが小声で言った。
「数Aは5限目だから、あとでいいよ」
「ありがとう!」
私は廊下側から2列目、最後尾の席に素早く座った。
今日も普段通りに一日が始まる──



