私は口を噤んだ。 違う、胸が圧迫され、もう言葉にならなかったのだ。 代わりに涙が溢れた。 こめかみを流れ、耳を濡らしたあと、ベッドカバーに染みを作った。 お母さんは、私の涙を自分と同じ種類のものだと思っているに違いなかった。 「ユアが目を覚ましたこと、看護師さんに知らせるね」 そう言って、お母さんはうれしそうにナースコールを押した。 けれど、私には絶望感しかなかった。 その学校に、ライムくんはいない── 確認するまでもない。 私はこのことを知っていた。 END