私の世界を終わらせた恋

 また部活前の短い時間、私たちは話すようになった。

 『何も望むな』と言っておいて、私のことは『好き』だと言うライムくん。
 正直、ズルいと思う。

 それでも話せなかったあの1週間を思うと、今の中途半端な状態のほうがずっとマシ。
 だから、私としてはデートに誘いたいところだけれど、言い出せないでいた。

 ライムくんからも当然誘ってくれることはない。

 これって前進してる?
 それとも、元に戻っただけ?

 もやもやを抱えながら、ライムくんの机を挟んで、今日も差し向かいで話をしている。

 ライムくんは時折、私の口元を見ることがある。
 そんなときでも、決して私の話を聞き流しているわけではない。
 聞いてくれてはいて、『うん、うん』と単調に頷くだけになる。