私の世界を終わらせた恋


 なら、何だろう……

 はっ‼︎
 もしかして、私の口元を見てる?

 私は慌てて手で隠した。

「まさか、私、歯に海苔が付いてる⁉︎」

 お昼に食べたおにぎりには海苔が巻いてあった。
 どういう訳か、私の歯は海苔が付きやすいのだ。

 いつもならマイカが指摘してくれるはずなのに、どうして今日に限って⁉︎
 あー、今はそんなことより、一刻も早く口をゆすいでくるしかない!

 私は、イスが倒れそうなほど勢いよく立ち上がった。

 すると、ライムくんまでなぜか立ち上がった。

「大丈夫、そんなことないっ」

 必死な形相──

 私たちは数秒見つめ合って、それから同時に噴き出してしまった。

「『歯に海苔』って何だよ⁉︎」
「お弁当食べたあと、よく付いてるから」
「そうなの? 明日から気にして見ておこっと」
「やめてー!」

 部活の始まる時間ギリギリまで笑ってしまったのだった。