私の世界を終わらせた恋


 そういえば、高校に入学してすぐの頃は、先生によって勝手が違うことにあたふたしたなー。
 今ではもうすっかり慣れたもので、先生ごとの攻略法もばっちりだけど。

 入学式の日が、遠い遠い昔のことのように感じられる──
 
「珍し。まあ、自分でやってきたのは進歩だね」

 まるで小さな子どもを相手にするみたいに言って、マイカはノートを差し出してくれた。

「恩に着る!」
「そればっかりで、そろそろ着膨れてきてるでしょ。少し返してみない? ってことで、数Aの予習はやってきてる?」
「えっ、それこそ珍しい! どうしちゃったの?」
「私だって自分でやろうと思ったんだけど、意地悪なぞなぞか何か⁉︎  ってくらい意味不明ー!」

 マイカは絶望的に嘆き、大きく広げた手のひらを天井に向けた。

「私、文理選択は絶対に文系にするわー」

 そういえば、文理選択の希望調査票が配付されてたっけ。
 提出はいつまでだったかな……