私の世界を終わらせた恋

 朝イチで、自分の席を素通りし、親友のマイカの元へと向かう。
 私にとっては、恒例になっているルート。
 精いっぱい眉尻を下げるのもお約束。

「ねえ、漢文の予習してきた?」
「なあに? また『見せて』って? ユアもたまには自分で訳してきなよー」

 そう咎めながらも、マイカは机の中に手を入れ、ノートを探してくれる。

「言い訳なんだけど、聞いて! 自分で訳してはきたの。でも、意味わかんない文があって、しかもちょうど当たりそうな辺りなんだよね」

 古典の先生は、いつも決まって廊下側の先頭から当てる。
 『前回廊下側からだったから、今日は窓側から』とか、『今日は◯日だから、出席番号が◯番の人から』とかはしない。
 自分の当てられる箇所が予想できる、大変有り難い先生なのだ。