中間テスト。
 沙羅は、ギリギリ赤点を免れた。
――助かった。啓斗に感謝、感謝。


   ◇◇


 中間テストが終わり、廊下に成績優秀者のリストが貼り出された。
 生徒たちがその前に集まり、あちこちで歓声やため息が漏れている。

**一位 本郷 啓斗**
**二位 松浦 真帆**
**三位 中田 健吾**
……

――やっぱり啓斗すごい!

「おお! 俺の勝ちだ! 次のカラオケ、俺タダね!」
 西川 波留(にしかわ はる)がガッツポーズを決めている。
 彼とその仲間は、成績優秀者の順位を競馬のように予想し、カラオケ代を賭けているのだ。

「ったく。テストの結果に賭けるなんて、私たちは競争馬じゃないんだから……」
 真帆が呆れたようにため息をつく。

「単勝なのかな? それとも連勝?」
 隣で啓斗がぼそっとつぶやいた。

「何言ってるのよ! そういう問題じゃないでしょ!」
 真帆がピシャリと突っ込む。

「実害ないし、どうでもよくない?」
 啓斗は相変わらずマイペースで実利的だ。

 二人のやり取りを聞いて、沙羅はふと思った。

――二人とも、らしいな。
 ……って、真帆ちゃん、もしかして、恋のライバル?
 ……まさかね。