恋のライバルは学年2位の優等生。私のアプローチは空振り中です!

 それから数日間、沙羅は放課後になると一人、教室の隅に陣取って小道具制作に没頭していた。

 手紙風のヒントカードは、わざわざ古紙風の便せんに紅い封蝋シールを貼り、万年筆のようなペンで筆跡にクセをつけて仕上げる。

 鍵付きの木箱は、百均で買ったジュエリーボックスを塗装して、金属風にリメイク。

 謎のブレスレットは、ビーズを組み合わせて、特定の順番で読めば文字が現れるように工夫した。

 その日の作業中。

「沙羅ちゃん、まだ残ってたの?」

 ふと顔を上げると、啓斗がドアの前に立っていた。

「あ、うん。今日でだいたい形にできそうだから、もうちょい頑張ろうかなって」

 啓斗が近づいてきて、沙羅の机の上のブレスレットを手に取る。

「……これ、自分で作ったの?」

「そうだよ。パズルにもなるようにしたんだ。順番に読めば“ある単語”が出てくるの」

「へぇ……すごいな」

 啓斗は珍しく、じっと目を細めて感心していた。

「俺、謎の構造は考えられるけど、こういう演出は全然思いつかない」

――やった! 褒められた!

 沙羅の顔がふわっと明るくなった。

「じゃあさ、これとリンクする謎、作ってくれる?」

「いいよ。沙羅ちゃんの小道具に合わせて問題設計する」

 啓斗のその一言が、まるで“認められた”みたいで、沙羅は思わず胸を押さえた。

――このまま、啓斗の隣にいられるように頑張ろう。

 そう心に決めた。