恋のライバルは学年2位の優等生。私のアプローチは空振り中です!

 文化祭の出し物が「脱出ゲーム」に決まって数日後。

 放課後の図書室の一角に、沙羅、啓斗、真帆の三人が集まっていた。

「ストーリーの骨子、持ってきたわ」

 そう言って真帆が開いたノートには、細かな設定と簡潔なプロットが丁寧にまとめられていた。

「舞台は、文化祭の前日。準備が終わった夕方の学校」
「最後に姿を見せたのは、この教室。委員長は、そこで“最終確認をしている”はずだった」
「だけど――突然、姿を消した」
「残されたのは、委員長の机に置かれた、謎のメモだけ」

 教室内に、軽いざわめきが広がった。

「私たちは“生徒会メンバー”として、この謎を解く立場。先生から、『委員長を見つけるまで、この教室を出てはならない』と告げられるの」
「教室に仕掛けられた複数の謎を解いていって、最終的に“委員長の居場所”を突き止められたら脱出成功、って流れ」

 その瞬間、沙羅の中で何かがビビッと来た。

――これ、めっちゃ映えるやつじゃん!

 演出、衣装、小道具、どれも沙羅の得意分野で工夫できそうだった。

「ねえ、沙羅」

 真帆がふと沙羅の方に視線を向けた。

「沙羅ちゃん、小道具担当よね。お願いできる? あなたのセンス、こういうとき役立ちそうだから」

「え、あ、うん! 任せて!」

 思わず嬉しさがこみあげる。啓斗も軽くうなずいてくれた。

――絶対、いいの作って啓斗に見せてやる。

 沙羅の目が、いつになく真剣な色を帯びた。