「あ~どうしよう」
百瀬 沙羅(ももせ さら)は頭を抱えた。数学の授業が終わった後のことだ。
来週から高2最初の中間テスト。沙羅は、高1のときに数学で何度も赤点を取り、補習と再テストを繰り返してきた。
――もう補習は嫌だ。絶対に受けたくない。
「沙羅、何してんの?」
斜め後ろの席から、本郷 啓斗(ほんごう ひろと)がのぞき込んだ。
彼は学年トップクラスの成績を誇る優等生。軽くセットされたアッシュグレーのショートヘアに、クールな目元が印象的なイケメンだ。
「啓斗はいいよな」
「何が?」
「補習受けたくない! かっこ悪いし、時間もったいないし」
「そりゃそうだ」
「数学わからんのよ。このままだと確実に赤点コースだよ……」
◇◇
放課後。
「沙羅、中間テストだけどさ。多項式の割り算だけでも解ければ、赤点回避はできると思うよ」
「でも、どうやって?」
「機械的に計算できるよ」
そう言って、啓斗は数学の教科書を開いた。
「まず、ここの数字を並べて書いて。次に、この数字を掛けた結果を下に書く……」
沙羅はノートにペンを走らせる。
何度か繰り返すうちに、驚くほどスムーズに解けるようになった。
――本当だ、できた……!
「啓斗、そんな教え方じゃ応用できないでしょ」
突然、啓斗の後ろから松浦 真帆(まつうら まほ)の冷静な声が飛んできた。
彼女も学年トップを争う常連で、知的な雰囲気を持つ優等生、高めに結んだポニーテールがトレードマークだ。
って、いつの間に啓斗の後ろに来てたのよ。
「赤点回避が目的なんだから、とにかく解ければいいんだよ」
啓斗はあくまで実利的だった。
――本当に頭がいい人って、こういう人かも。
沙羅は、改めて彼を見つめた。
――啓斗、頭いいし、優しいし、イケメンだし……彼氏にするしかないっしょ!
百瀬 沙羅(ももせ さら)は頭を抱えた。数学の授業が終わった後のことだ。
来週から高2最初の中間テスト。沙羅は、高1のときに数学で何度も赤点を取り、補習と再テストを繰り返してきた。
――もう補習は嫌だ。絶対に受けたくない。
「沙羅、何してんの?」
斜め後ろの席から、本郷 啓斗(ほんごう ひろと)がのぞき込んだ。
彼は学年トップクラスの成績を誇る優等生。軽くセットされたアッシュグレーのショートヘアに、クールな目元が印象的なイケメンだ。
「啓斗はいいよな」
「何が?」
「補習受けたくない! かっこ悪いし、時間もったいないし」
「そりゃそうだ」
「数学わからんのよ。このままだと確実に赤点コースだよ……」
◇◇
放課後。
「沙羅、中間テストだけどさ。多項式の割り算だけでも解ければ、赤点回避はできると思うよ」
「でも、どうやって?」
「機械的に計算できるよ」
そう言って、啓斗は数学の教科書を開いた。
「まず、ここの数字を並べて書いて。次に、この数字を掛けた結果を下に書く……」
沙羅はノートにペンを走らせる。
何度か繰り返すうちに、驚くほどスムーズに解けるようになった。
――本当だ、できた……!
「啓斗、そんな教え方じゃ応用できないでしょ」
突然、啓斗の後ろから松浦 真帆(まつうら まほ)の冷静な声が飛んできた。
彼女も学年トップを争う常連で、知的な雰囲気を持つ優等生、高めに結んだポニーテールがトレードマークだ。
って、いつの間に啓斗の後ろに来てたのよ。
「赤点回避が目的なんだから、とにかく解ければいいんだよ」
啓斗はあくまで実利的だった。
――本当に頭がいい人って、こういう人かも。
沙羅は、改めて彼を見つめた。
――啓斗、頭いいし、優しいし、イケメンだし……彼氏にするしかないっしょ!



