獣人姫は公爵家メイド──正体隠して仕えるも、次期公爵の想いには鈍感です

数日後、ドンドンとノックの音で目を覚ました私は、メイドの服に爆速で着替えてドアを開けた。
そこにはリムが立っていてすごく興奮している。
話を聞くと、結果発表されたらしく見に行こうということだった。
リムは長いメイド生活のため早起きなど、お手のものかもしれないが、私のようなメイドなりたてに加え、寝ぼすけからしてみたらたまったものではない。
とはいえ、結果は気になるので人がガヤガヤしているところへ二人で向かった。
「ところで、他の役職の人もいるのはなんでかしら?ただの専属メイドが決まっただけでしょう。多分カルロッタさんだと思うけど。」
「でも一番乗りはスピ…いえ、ラニンさんですよ。」
私の話がどうであれ、リムは私のことを褒め、フォローをしてくれている。
ちなみにカルロッタさんというのは、メルフィット男爵家の令嬢の真面目な美人メイドだ。
恋愛を毛嫌いしているため、私と違う意味でモテないと思われがちではあるが、才能やスタイル、容姿が完璧のため、アタックする人は数え切れないんだとか。
もしかして、次期公爵夫人かもなどと囁かれいるのも聞いたことがあるのよね。
掲示板にはこんな文字が書かれた紙が貼ってあった。
『数日前の試験の結果、ゲルドの専属メイドはラニン•ソーゼルマリスとする‼︎』
周りの人たちは「誰?ラニンって。」とひそひそ話始める。何人かは知っている人もいるみたいで、こちらに目線を送っている人もいる。
一方、選ばれた本人の私は周りの人からの証言で見間違いではないことが判明した後数秒間フリーズしたのち、ゲルド様の部屋へ行くこととなった。
しかし、情けないことに部屋の場所が分からないどころか、自分がどこにいるのかさえ分からない迷子になってしまったので、後に事情を知って回収してくれたリゼルさんに苦笑されてゲルド様のお部屋に向かうこととなった。
⭐︎⭐︎⭐︎
パルメラは、結果発表を知らやいなや怒りと焦りで顔を歪ませた。
「まさか、私の愛しのスピレ様が汚らわしい野獣の専属になるなんて…。このままではせっかく練りまくった私のパーフェクトプランがパァになっちゃうでしょうがぁぁぁぁぁぁ‼︎」
感情が高ぶり、背中から羽が広がる。
それからハッと我に帰り、ブラウシェリ家に追加の手紙のような報告書を送った。
このことでさらに、ブラウシェリ家が急速にことを進めるとも知らずに。