王子様スマイルで礼儀正しくそう言われ、私はニコッと笑った。
「こちらこそありがとうございました。楽しかったです。またやろうね」
「はい。また。
先輩、駅まで送りますよ」
「ひとりで大丈夫ですよ」
「もうちょっと、先輩とお話したいな」
(おや?)
これはちょっと、良い感じの展開かな。さっきも「俺の先輩」を繰り返してたし。可愛い。
繁華街のネオンの中を歩きだす。私の速度に合わせてくれる。王子様スマイルでニコニコ笑いながら、今日、先輩のおかげでとっても楽しかったですよ、って言ってくれる。可愛い。
「寒くないですか、先輩」
「大丈夫です。あなたは?」
「大丈夫です。
どっか寄って、お茶していきませんか」
「良いですね」
どっぷり疲れてはいたけれど、イケメンは見ているだけで疲れが取れる。飲み会の人数もそろえてもらったし、二次会は私が払おう。
(どこにもいないだろうな。石油王!!)
「先輩?」
私はとっさに周囲を見回す。あいつは図体がデカいクセに、忍者のように隠れるから怖い。邪魔すんなよ。邪魔すんなよ。今夜はこの後輩と遊ぶんだから!!
「カフェに行きますか」
「飲み直しませんか。近くに良いバーがあります」
「じゃあ、少しだけ」
ネオンから少し外れて、狭い裏通りに入る。肉が焼ける美味しい匂いがする。玉ねぎとニンニクの醤油ソースのにおいも。ここを抜けると反対側の通りも夜にぎわう街だ。
「先輩」
不意に、後輩が私をそっと抱き寄せた。
ウイスキーの水割りの香りに混じる香水はアクア系のさわやかなものだった。
「先輩、好きです。大好きです」
(おや)
「入社してからずっと、先輩だけを見てました。
好きになっちゃいました。俺と付き合ってください」
(少女マンガみたいな展開来た)
よし、
もうちょっとイケメンの広い胸に抱かれて、においを嗅いでいよう。
「先輩」
イケメンの唇が、私の左耳にそっと触れる。
「先輩って、
整形ですよね」
「こちらこそありがとうございました。楽しかったです。またやろうね」
「はい。また。
先輩、駅まで送りますよ」
「ひとりで大丈夫ですよ」
「もうちょっと、先輩とお話したいな」
(おや?)
これはちょっと、良い感じの展開かな。さっきも「俺の先輩」を繰り返してたし。可愛い。
繁華街のネオンの中を歩きだす。私の速度に合わせてくれる。王子様スマイルでニコニコ笑いながら、今日、先輩のおかげでとっても楽しかったですよ、って言ってくれる。可愛い。
「寒くないですか、先輩」
「大丈夫です。あなたは?」
「大丈夫です。
どっか寄って、お茶していきませんか」
「良いですね」
どっぷり疲れてはいたけれど、イケメンは見ているだけで疲れが取れる。飲み会の人数もそろえてもらったし、二次会は私が払おう。
(どこにもいないだろうな。石油王!!)
「先輩?」
私はとっさに周囲を見回す。あいつは図体がデカいクセに、忍者のように隠れるから怖い。邪魔すんなよ。邪魔すんなよ。今夜はこの後輩と遊ぶんだから!!
「カフェに行きますか」
「飲み直しませんか。近くに良いバーがあります」
「じゃあ、少しだけ」
ネオンから少し外れて、狭い裏通りに入る。肉が焼ける美味しい匂いがする。玉ねぎとニンニクの醤油ソースのにおいも。ここを抜けると反対側の通りも夜にぎわう街だ。
「先輩」
不意に、後輩が私をそっと抱き寄せた。
ウイスキーの水割りの香りに混じる香水はアクア系のさわやかなものだった。
「先輩、好きです。大好きです」
(おや)
「入社してからずっと、先輩だけを見てました。
好きになっちゃいました。俺と付き合ってください」
(少女マンガみたいな展開来た)
よし、
もうちょっとイケメンの広い胸に抱かれて、においを嗅いでいよう。
「先輩」
イケメンの唇が、私の左耳にそっと触れる。
「先輩って、
整形ですよね」



