この石油王と私の出会いは、約1年前に遡る。近所のコンビニで、カップ麺を買ったは良いが、作り方もわからなければお湯の入れ方もわからない。そこに通りかかったのが私だと言うわけだ。
無事、カップ麺を食べることできた石油王は私にとても感謝して、嫁にしてやる、と言った。速攻で断った。
- なぜですか!?
私はお金も地位も身分も知性もすべて持っています!!
- 品性が足らん!!
石油王は、代わりに油田をひとつくれてやると言った。速攻で断った。
- なぜですか!? 油田があれば一生楽に暮らせますよ!!
- 要らん!!
- あなたも、私がどれだけお金持ちか知れば、きっと私のお嫁さんになりたいと思うはずです!!
- Good bye.
あきれかえった私は、すぐにコンビニを出た。石油王は当然ながら追いかけてきたが、防犯ブザーを鳴らしたら逃げていった。
変なのに関わっちゃったな。忘れよう。
そう思っていた私は甘かった。
次の日、なんと、
その石油王が、隣に引っ越してきた -
それから「おすそ分けです」とか「この漢字が読めません」「この書類の書き方を教えてください」など、何かと理由をつけてうちにやってくる。うっとうしいことこの上ない。しかも、私のために朝食まで準備しはじめた。
怖いもので、大型犬のように懐かれるとほだされてしまう。日本語が上手だからなおさら。
聞けば、日本の最高学府に在籍し、専門は医学だと言う。なぜ医学部に、と聞いたら、ふふ、と笑ってごまかされてしまった。
ちなみに大学では授業は英語、第二外国語はフランス語、そして希望者は第三外国語も学べるらしく、中国語を勉強しているらしい。彼の母語はアラビア語だ。脳みそどうなってるんだ。
(はい。関係ない、かんけいなーい)
私はワイヤレスイヤホンを耳に入れ、お気に入りの洋楽を流しながら駅へと向かう。今は肌寒いけれど、天気が良くなりそうだ。桜も満開だし、良い気分だな。
「お先に失礼します」
と、
黒いロールスロイスの後部座席のウインドウを開け、石油王が軽く手を振ってくる。
こ、こ、このぉ!!
私は、
彼をガン無視して、スタスタ歩きだした。彼の軽やかな笑い声が、イヤホンを貫通して不愉快だった。
無事、カップ麺を食べることできた石油王は私にとても感謝して、嫁にしてやる、と言った。速攻で断った。
- なぜですか!?
私はお金も地位も身分も知性もすべて持っています!!
- 品性が足らん!!
石油王は、代わりに油田をひとつくれてやると言った。速攻で断った。
- なぜですか!? 油田があれば一生楽に暮らせますよ!!
- 要らん!!
- あなたも、私がどれだけお金持ちか知れば、きっと私のお嫁さんになりたいと思うはずです!!
- Good bye.
あきれかえった私は、すぐにコンビニを出た。石油王は当然ながら追いかけてきたが、防犯ブザーを鳴らしたら逃げていった。
変なのに関わっちゃったな。忘れよう。
そう思っていた私は甘かった。
次の日、なんと、
その石油王が、隣に引っ越してきた -
それから「おすそ分けです」とか「この漢字が読めません」「この書類の書き方を教えてください」など、何かと理由をつけてうちにやってくる。うっとうしいことこの上ない。しかも、私のために朝食まで準備しはじめた。
怖いもので、大型犬のように懐かれるとほだされてしまう。日本語が上手だからなおさら。
聞けば、日本の最高学府に在籍し、専門は医学だと言う。なぜ医学部に、と聞いたら、ふふ、と笑ってごまかされてしまった。
ちなみに大学では授業は英語、第二外国語はフランス語、そして希望者は第三外国語も学べるらしく、中国語を勉強しているらしい。彼の母語はアラビア語だ。脳みそどうなってるんだ。
(はい。関係ない、かんけいなーい)
私はワイヤレスイヤホンを耳に入れ、お気に入りの洋楽を流しながら駅へと向かう。今は肌寒いけれど、天気が良くなりそうだ。桜も満開だし、良い気分だな。
「お先に失礼します」
と、
黒いロールスロイスの後部座席のウインドウを開け、石油王が軽く手を振ってくる。
こ、こ、このぉ!!
私は、
彼をガン無視して、スタスタ歩きだした。彼の軽やかな笑い声が、イヤホンを貫通して不愉快だった。



