天使なのに、なぜか甘やかされています。


 わたしは泣きながら笑う。
「はい、世河(せがわ)くんのおかげです」

「俺はなんもしてねぇよ」
「それより、両手、見せて」

 わたしは床にある包みの上にお弁当箱を置いて両手を見せると、
 世河(せがわ)くんは下から両手を優しく取り、じっと見る。

 え……。

「せ、世河(せがわ)くん?」

「両指、傷だらけだな」

「あ、これはその、ハンバーグ作る時に色々失敗して……」

「自分は治さないのな」

「はい、天使の力は人の為に使うと決めているので」

 世河(せがわ)くんは、はー、と息を吐く。