ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

　ゴールデンウィークが明けた月曜日。重い気持ちで学校へ向かうと、同じ制服を着た子たちが私を一目見るなりさりげなく避けるなりヒソヒソし出した。

　何だろう……？　疑問を抱いたまま教室に入ると、おしゃべりに溢れて賑やかだった空気が、一瞬にして静まり返る。

『ねえ、聞いた？　彩城さんが天堂くんを突き飛ばしたってウワサ』

『聞いた聞いた！　しかも、コンクリートに激突させたんでしょ⁉　ひどいよねぇ』

『ていうか、実際はただ突き飛ばしたんじゃないんだって。実際は超能力的なものを使ってたらしいよ』

『えーっ？　何それ怖過ぎるんだけどー』

　仲間同士で目配せをしながら、わざと私に聞こえるように陰口を叩くクラスメイトたちを一瞥したそのとき。ピンポンパンポーンと能天気な校内放送のチャイムが鳴り響く。

『彩城茉紘さん、至急生徒指導室へ来てください』

　マイク越しからでもわかる天堂くんの声。

　私が吹っ飛ばしたとき、ぐったりして意識をなくしていたのに、登校してたんだ。何だろ……？