『お前マジでふざけるなよ! 何が推しだ⁉ 俺という存在がありながら、他の男に色目使いやがって‼』
えっ……?
顔を真っ赤にして声を荒げる天堂くんにおどろきを隠せない。だって、私が知っている天堂くんは、一人称が『ぼく』の爽やかな優等生で、誰にでも分け隔てなく優しく、生徒や先生にも慕われている人気者。
そんな彼が、婚約者の瞳ちゃんの胸ぐらをつかんで激高している姿は、私にとっては天と地がひっくり返るほどの衝撃的な光景だった。
『ごめんなさい。もう二度とライブには行かないから……』
蚊の鳴くような声を上げる瞳ちゃんに、天堂くんは悪魔のような笑みを浮かべる。
『じゃあ、これはいらないな』
『えっ……』
天堂くんは呆気に取られる瞳ちゃんからバッグを奪い取ると、中身をアスファルトの上にぶちまけた。
それから、瞳ちゃんがライブのときに持っていた、推しの名前と【大好き】という文字が飾られたうちわを革靴で踏みつける。
――あのうちわは、瞳ちゃんが何日もかけて作ったもの。
ライブ中、観客席を歌いながら移動していた瞳ちゃんの推しアイドルが気づいて、満面の笑顔と指ハートでファンサしてくれた思い出のうちわ。
それを何のためらいもなく踏みつけるなんて……!
えっ……?
顔を真っ赤にして声を荒げる天堂くんにおどろきを隠せない。だって、私が知っている天堂くんは、一人称が『ぼく』の爽やかな優等生で、誰にでも分け隔てなく優しく、生徒や先生にも慕われている人気者。
そんな彼が、婚約者の瞳ちゃんの胸ぐらをつかんで激高している姿は、私にとっては天と地がひっくり返るほどの衝撃的な光景だった。
『ごめんなさい。もう二度とライブには行かないから……』
蚊の鳴くような声を上げる瞳ちゃんに、天堂くんは悪魔のような笑みを浮かべる。
『じゃあ、これはいらないな』
『えっ……』
天堂くんは呆気に取られる瞳ちゃんからバッグを奪い取ると、中身をアスファルトの上にぶちまけた。
それから、瞳ちゃんがライブのときに持っていた、推しの名前と【大好き】という文字が飾られたうちわを革靴で踏みつける。
――あのうちわは、瞳ちゃんが何日もかけて作ったもの。
ライブ中、観客席を歌いながら移動していた瞳ちゃんの推しアイドルが気づいて、満面の笑顔と指ハートでファンサしてくれた思い出のうちわ。
それを何のためらいもなく踏みつけるなんて……!


