ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

 懐かしい名前を思い出したそのとき、ごくんと飲み込もうとしたはずのクレープの生地が、喉の奥に詰まってしまった。

「うぐっ……⁉」

 や、ヤバい! このままだと息ができない……!

 そうだ、水……! 店員さんに水をもらって、飲めばなんとか収まるかも……。

「飲んで!」

 突然頭の上から慌てたような声が降ってきて、目の前に水が入った紙コップを差し出された。

 光の速さでそれを受け取り、一気に中の水を飲み干すと、喉に詰まっていた生地が痛みとともに流れていく。

「はーっ、助かった。ありがとう……」

「お礼はいいよ。たいしたことはしてないから」

 私の声にかぶさるように、別の声が落ちてくる。

 顔を上げると、さっきの黒髪ロングの女の子が、心配そうな表情で私のことを見下ろしていた。