ワケあり転校生×総長さまの甘くてキケンな溺愛契約⁉

     ◆

 と、いうわけで。私たちは駅前のクレープ店にやって来た。

 このクレープ店は変わり種のメニューが豊富でおいしいとネットで話題になっていたから、ずっと来てみたかったんだよね。

「うわあっ……、どれもおいしそう!」

 ショーケースに並ぶクレープのサンプルに、思わず目が釘付けになる。

「この新作の桃のクレープ、おいしそう! あっ! 期間限定のラムネもいいな~っ! どれにしよう……」

 うーんと悩む私の背後から「迷うくらいなら、全部頼めば? 俺が買うよ」と昴くんが声をかけてくる。

「えっ⁉ 悪いよ。さすがに2つもおごってもらうのは……」

「そうか? じゃあ、二人で一緒に食べるってことにするか」

 んん? それってどういうこと? と聞く間もなく、昴くんは私が悩んでいたクレープを2つとも注文してしまった。

 しばらく待っていると、店員さんが私に桃のクレープ、昴くんにラムネのクレープを持たせてくれた。

 白い生クリームの上に桃が花のように飾ってあって、まるで小さな花束みたい。

 イートインスペースに行ってから、しばらくクレープを目で楽しんで一口かじる。

 すると、みずみずしくて甘い桃と、こってりし過ぎない生クリームの味が口の中いっぱいに広がっていく。

「ん~っ、おいし~っ!」

 あまりのおいしさに頬が落ちそうになるのを手でおさえていると。

「へー。それ、そんなにうまいんだ?」

 昴くんが私に顔を近づけて聞いてきた。

「俺も一口食べていいか?」

「えっ? えっと……」